私たちは悩んでいる時「自分はダメだ!」「どうせ誰もわかってくれない!」「どうせ何をやっても上手くいくはずがない!」と決めつけて、自分を責めて追い詰めていきます。
そのような時は、現実を見ているようで、自分の思い込み、思考のクセに縛られているものです。

 

このような時に役立つのが認知行動療法のスキルの1つである「7つのコラム法」です。気持ちが辛くなるこの現実を書き出すことにより、客観的に見ることが出来き、自分でも気が付かなかった大切なことを発見するかもしれません。今回はこの7つのコラム法をご紹介いたします。

「7つにコラム法」は次の7つから構成されています。

 

状 況(気持ちが動揺した時の一場面)

気 分(その時の気持ち)

自動思考(瞬時に浮かんだ考えやイメージ)

根 拠(自動思考を裏付ける具体的な事実)

反 証(自動思考と矛盾する反対の事実)

適応的思考(バランスの良い別の考え)

今の気分(考え方を変えた時の今の気分)

 

辛い出来事があったとき、このようなコラムを使って考えを整理していくことで、気分を改善し、対応策(これからのプラン)を考えることに役立ちます。

順を追って具体的に説明していきます。

現在の状況や気持ちを書き出しましょう

状況を書き出しましょう

→1段目のコラム

最初の欄には、最近、つらい気持ちになったときの具体的な出来事を書きます。
・できるだけ具体的に(情景がありありと浮かぶくらいに)
・特定の時間(one slice of time)
・5W1H(誰と、どこで、なにを、なぜ、どのように)

 

 

気分を理解しましょう

→2段目のコラム

気分とは一語で表現できるものです。

次の図から選んでみても良いでしょう。

-気分の一覧表-

憂鬱 不安 怒り 罪悪 感恥 悲しい 困惑 興奮 おびえ いらだち 心配 誇り 無我夢中   パニック 不満 神経質 うんざり 傷ついた 快い 失望 激怒 怖い 楽しい 焦り 屈辱感 安心 愛情

その気分はどれぐらいの強さでしたか?

◎気分のレベルをはかりましょう
・気分の強さをはかることで、気分の変化に気づきましょう
・「全く感じない」=0%、「最大」=100%

 

自動思考を見つけましょう

→3段目のコラム

自分自身に対して、次のような質問をしてみましょう;
「その時どんなことが頭に浮かびましたか?」 ・・・ 考え・イメージ・記憶
「どんなことが心配になりましたか?」
・自分のこと
・誰か他の人のこと
・今後のなりゆき

 

◎“ホットな思考”を見つけましょう
上で上げた自動思考のうち、その時の気分を最もよく説明する考えを、“ホットな思考”と呼びます。
ホットな思考に◎をつけておきましょう。

 

3つのコラム(状況、気分、自動思考)の例

状 況:先週の木曜日、午後8時、上司が一般職の女性を連れ食事へ行き、自分は残業をしていた

気 分:悲しい (70%)孤独感 (65%)怒り (85%)

自動思考
◎いつも自分は良いように利用される役回りなんだ(自分に関する思考)
○上司は自分のことが嫌いなんだ(他者に関する思考)
○これからも仲間はずれにされるだろう(将来に関する思考)

 

3つのコラムの例

状 況:会社で私を残して事務職のみんなが上司と食事会に行った

気 分: イライラ(70%)、あせり(65%),悲しい(80%)

自動思考
◎自分は嫌われている。 (80%)
○仲間はずれにされている。(80%)
○自分は仕事が遅いだめな人間だ。(70%)

 

バランス思考に切り替えましょう

 

元気な時だったら、違う見方をしないだろうか?

ここからは、コラムの4~7段目の欄に記入していきます。
バランスのある考え方には、3つのアプローチがあります。それぞれを使って、6段目のコラム(バランス思考・今の気分)に書き込んでいきます。

 

その為には次の3つのことが重要になります。

 

1)事実にもとづいて考える 。
2)「考え方(認知)」のかたよりに注目する。 
3)視点を変えてみる 。

 

順に解説します。

 

事実にもとづいて考える

・そう考える理由(根拠) と 反対の根拠(反証)を考えてみます。
→ 4つ目のコラム(根拠)、5つ目のコラム(反証)に書き込みます。

 

「根拠」の見つけ方 は、自動思考を裏付ける客観的な事実だけを書きます 。
“きっと~だろう”は「想像」にすぎません
・最良のシナリオ vs 最悪のシナリオ を想像してみて、現実的なシナリオ を考えてもよいでしょう
根拠と反証を “しかし・・・”でつないでみて、適応思考(バランス思考)を考えて見ましょう。
→ 6段目のコラム

「考え方のかたより」に注目する

私たちはしばしば、「捉え方のかたより(認知のアンバランス)」と呼ばれる、現実とはかけ離れた過剰に否定的な考え方のパターンに陥っています。
これは、多くの人が共通して持っているものですが、うつ状態だと特に顕著になることが多いのです。「考え方のかたより(認知のアンバランス)」の例をあげます。

 

 

え方のかたより(アンバランス)

 

1)感情的きめつけ
証拠もないのにネガティブな結論を引き出しやすいこと 「〇〇〇に違いない」
例:取引先から一日連絡がない
→ 「嫌われた」と思いこむ

 

2)選択的注目 (こころの色眼鏡)
良いこともたくさん起こっているのに,ささいなネガティブなことに注意が向く

 

3)過度の一般化
わずかな出来事から広範囲のことを結論づけてしまう
例:一つうまくいかないと、「自分は何一つ仕事が出来ない」と考える

 

4)拡大解釈と過小評価
 自分がしてしまった失敗など、都合の悪いことは大きく,反対に良くできていることは小さく考える

 

5)自己非難(個人化)
 本来自分に関係のない出来事まで自分のせいに考えたり、原因を必要以上に自分に関連づけて、自分を責める

 

6) “0か100か”思考(白黒思考・完璧主義)
白黒つけないと気がすまない、非効率なまで完璧を求める
例:取引は成立したのに、期待の値段ではなかった、と自分を責める

 

7)自分で実現してしまう予言
否定的な予測をして行動を制限し、その結果失敗する。 そうして、否定的な予測をますます信じ込むという悪循環。
例:「誰も声をかけてくれないだろう」と引っこみ思案になって、ますます声をかけてもらえなくなる

 

視点を変えてみる

バランス思考を導き出す3番目の方法は、視点を変えることです。
次のように、自分に問いかけてみて、「自動思考」をもう一度考え直してみましょう。

 

・家族や友人が同じような考えをしていたら、どのようにアドバイスするだろう?
・他の人(〇〇さん)がここにいたらなら、どうアドバイスしてくれるだろう?」
・他の人(〇〇さん)なら、他の見方をしないだろうか?
・自分ではどうしようもない事で、自分を責めていないだろうか?
・自分が今悩んでいることの「意味」を考える、こともときに役に立ちます
「なんのためにこれをやるのだろう?」 ・・・ 最終的な目的
「自分はどんなことを心配しているのだろう?」 ・・・ 心配する結果

などを検討してみましょう。

 

今の気分はどうでしょうか?

最後に、7段目のコラムに、当初の“気分”はどのように変化したかを書きます。
気分は改善しなくても、これからの対応策や行動プランを思いつければ成功です

7つのコラムの記入例

先ほどは、1~3段目のコラムだけの記入例でしたが、全体の記入例を挙げますので、参考になさってください。

 

状 況:会社で私を残して事務職のみんなが上司と食事会に行った

気 分 :イライラ(70%)、あせり(65%),悲しい(80%)

自動思考(ホットな思考に◎) (確信度%):

◎自分は嫌われている。 (80%)
〇仲間はずれにされている。(80%)
〇自分は仕事が遅いだめな人間だ。(70%)

 

根 拠: 食事会に行けず、残業していた。
仕事が進まない。

 

反 証: 他の事務職の同僚も何人か残業していた。
確かに仕事は締めきりもあり忙しかった。

 

適応的思考: 
 仕事は締めきりもあり忙しかったので、私に気をつかったのではないか。(50%)
信頼されているからこそ仕事が多いのだ。(65%)

 

今の気分:イライラ(40%)焦り(30%)悲しい(25%)やる気(20%)イライラや焦りなどの否定的な気分はおさまって、やる気が出てきた

 

まとめ

 

嫌な気分やつらい気分になった時に、是非この7つのコラム法をやってみてください。私のクライアントさん達にも書き出していただくことがありますが、必ず新しい発見がありました。紙に書き出すという行為は、「外在化」と言って物事を客観視することが出来、だからこそこの現状を偏りのないバランスの良い考え方で見ることが出来るのです。

 

何回かやっているうちに自分の考え方の偏りに気づくかもしれません。否定的な気分の時は、現実をそのまま受け止めないで、過剰反応しているものです。その過剰反応を解消するためにも、この7つのコラム法をお薦めします。少しでも気持ちがラクになるお手伝いが出来たのなら幸いです。

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